YouTube Liveのライブ配信においてバックアップはとても大切です。
何らかのトラブルが発生した後でも全体の機能が継続するように、予備設備をバックアップとして用意・運用しておくことを冗長化(じょうちょうか)と呼びます。
冗長化ではあらゆる事態を想定してバックアップを用意します。その際はシステムの上流から考えていくと分かりやすいです。
また、いずれかにトラブルが起きた際に自動、または、すぐにバックアップに切り替えられるようにしておくことが望ましいです。
大切なライブ配信が途中で中断しないように、機材・インターネット回線・サービスのバックアップ-冗長化についてご紹介いたします。
※YouTube Liveの仕組みをご理解いただけてない方は先にこちらの記事をご覧ください
機材の冗長化
カメラ1台、YouTube Liveでライブ配信をすることを想定した回線図です。
例として、このシステムを冗長化していきます。
カメラの冗長化
・最低2台のカメラを用意
・カメラマイクで音声機材の冗長化にも
ライブ配信でカメラにトラブルが起きてしまうと、視聴者に映像を届けることができなくなってしまいます。
最低2台のカメラを用意し、トラブルが起きてもすぐに切り替えられるようにしておきましょう。
また、ピンマイクなどにトラブルが起きた場合でもカメラマイクで集音した音を配信していれば音声が途切れることはありません。
ケーブルの冗長化
・使用するケーブルの本数に対し、3割増程のものを用意
・機材間の相性もあるので、複数メーカーのものがあると望ましい
ライブ配信ではHDMI・SDI・USB・XLRなど、数多くのケーブルを使用します。
よく起こるのが、事前テストでは問題なかったのに、いざ本番日にセッティングしてみると映像が来ないというトラブルです。
本当になんなんでしょあれ…そんな時でも多くの場合、ケーブルの抜き差し・交換で直ります。
この記事を思い出して焦らず対処しましょう。
スイッチャーの冗長化
・可能であれば予備のスイッチャーを用意
・予算的に厳しければビデオキャプチャーでも可
スイッチャーは映像の切り替え、テロップ挿入による画面の構成・映像と音声をまとめる役割を担っています。
それらも大事なのですが、民生・セミプロのスイッチャーで重要な役割は、PCにUSBケーブルを介して映像・音声を送ることです。
こちらも予備のスイッチャーを用意し冗長化することをお勧めします。
予算的に予備のスイッチャーを用意するのが厳しい場合はビデオキャプチャーでも最悪の事態は回避できます。
PCの冗長化
・最低2台のPCを用意
・予備のPCでバックアップストリームへ映像を送ることでYouTube Liveの冗長化にも
ライブ配信においてPCはサービスへの映像の送信|ソフトウェア・エンコード|機種によってはスイッチャーのコントロールという役割を担います。
こちらも冗長化することで最悪の事態を回避します。
また、PCを複数台用意しメインストリームの他にバックアップストリームに映像を送ることで、YouTube Liveの冗長化にもなります(YouTube Live限定)
インターネット回線の冗長化
・最低2回線のインターネット回線を用意
・YouTube Liveのバックアップストリームを利用
・予算に余裕があればマルチSIMルーターなどを利用
インターネット回線の冗長化はサービスの冗長化と関連する部分が多いです。
1系統のインターネット回線のみしか用意していない場合だと、回線が落ちる・回線速度が著しく低減してしまうと配信が中断してしまいます。
ですので、最低でも2回線は用意しましょう。
メイン回線同等の回線があるとよいのですが、難しい場合はスマホのテザリング機能もバックアップとして有用です。
常にバックアップのPCから、バックアップの回線を使用し、YouTube Liveのバックアップストリームに送信していれば、YouTube Liveの冗長化にもなります。
また、複数のモバイル回線・固定回線を束ねてインターネット接続を安定化・高速化するマルチSIMルーター、映像をハードウェア・エンコーダで処理し複数のモバイル回線・固定回線を用いて映像を送信する「Live U」という機器もおすすめです。
サービスの冗長化
・複数のサービスを利用しライブ配信の冗長化をより強固に
機材・インターネットの冗長化で強固なシステムを作り上げたとしてもYouTubeのトラブルでライブ配信が中断してしまっては意味がありません。
先日もGoogleのサーバーダウンでライブ配信が中断した方もいたそうです。
そんな時でもライブ配信が中断しないように、複数サービスでライブ配信を行うと安心です。
複数サービスでライブ配信を行うにはいくつか方法があるのですが、一番リスクヘッジになるのはスイッチャーからの配信映像を分配→複数のインターネット回線から複数のサービスに映像を送ることです。
そうすることでYouTube Liveの配信が中断したとしても、視聴者は他のサービスを利用することで、引き続きライブ配信を観ることが出来ます。
ちなみに、 “Vimeo”のライブ配信ではVimeoでライブ配信を行いつつ、Vimeoから他のサービスに映像を送りライブ配信を行うことが出来ます(有料)
まとめ
いかがでしたでしょうか?実際のところ、ご紹介した全ての冗長化を行うとそれなりの金額になってしまいます。
ですので、どうしても中断してはいけないライブ配信がある際に、予算内に収まる最適な冗長化を行いましょう。
ライブ配信で予期せぬトラブルが起きた場合でも、焦らず落ち着いて原因を探し、復旧に向けてトラブルシューティングを行いましょう。